馬刺しってどんな味?部位ごとの特徴を熊本の板前が解説

フクシマ板長

馬刺しというと、一部の居酒屋で食べれるもの、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ほとんど食べたことがない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、馬刺しの気になる味について、馬肉生産量日本一の熊本で板前をやっている私フクシマが解説します。馬刺しをまだ食べたことがない方でも、この記事を読めば、馬刺しの味をイメージできるようになるでしょう。

馬肉と他の肉の違い

まずは馬肉と他の肉の違いについて解説していきます。

馬肉の栄養素

馬肉は、牛肉や豚肉に比べて非常にヘルシーな選択肢であるとされています。馬肉は「低カロリー」「高タンパク」で、タンパク質含有量は牛肉や豚肉の約2倍にも上り、脂肪分は牛肉の約5分の1、カロリーも半分程度です。さらに、馬肉のタンパク質は消化が容易であり、アレルギーを引き起こしにくいとされています。

馬肉に豊富に含まれるペプチドは、肝機能の代謝を高め、疲労回復や高血圧の改善、さらには脂肪燃焼や美肌効果をもたらすとされています。

馬肉はグリコーゲンという多糖類も豊富で、これが体内で素早くエネルギーに変わります。これにより、体が温まる効果やスポーツ時のパフォーマンス向上が期待できます。
また、グリコーゲンは糖の一種なので牛肉・豚肉にくらべて甘く美味しく旨味の多い味わいとなります。

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馬肉は生で食べることができる

馬肉は国内で安全に生食できる数少ないお肉です。一般的に生食される肉と言えばその安全性が問題視されがちですが、馬肉は特に安全性が高いとされています。

なぜかというと、馬は奇蹄類に分類され、偶蹄類の生物に見られる狂牛病や口蹄疫とは無縁です。また、牛肉で問題となるO-157などの細菌が腸内に存在しないため、刺身などの生食に適しており、馬肉は生で食べるのに非常に適した食材であると言えます。

馬肉のこれらの特性は、健康的な食への関心が高い現代の食生活においても適した食材であると言えます。馬肉は低カロリーで高タンパクな馬肉は、味わい深いだけでなく、栄養面でも多くのメリットを持っています。

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赤身と霜降りの特徴と違い

馬肉にも豚肉や牛肉と同様に部位があり、味や食感、栄養素もそれぞれ部位によって特徴があります。

まずは代表的な、「赤身」と「霜降り」について、それぞれの特徴と違いを解説します。

赤身の特徴

赤身

赤身は馬肉の中でも特に旨みが強く感じられる部位です。その味わいはあっさりしていますが、旨みは濃厚で、肉の質感も非常に良いです。
赤身の肉質は弾力がありつつもやわらかく、しっかりとした食感を楽しむことができます。

霜降りの特徴

大トロ

霜降り部位は、脂のサシが入った肉で、この脂身が馬肉特有のさっぱりとした甘みととろける食感を生み出します。脂の量が多いことから、この部位は非常に柔らかく、口の中で溶けるような感覚を楽しむことができます。

馬脂肪注入冷凍馬刺しについて

馬脂肪注入冷凍馬刺しは、赤身肉に液状の馬の脂を注入することで、高価な霜降り肉の食感と風味を手頃な価格で再現しようとする製品です。
この技術により、多くの消費者が霜降り肉特有の味わいを手軽に楽しむことが可能になりました。ただし、これらの製品は販売時に表示が義務付けられているため、購入の際はその表示を確認することが重要です。

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馬肉の部位ごとの特徴とその味について

馬の部位紹介イラスト

それではここから馬肉の部位ごとの特徴と、その味についてご紹介いたします。

馬肉の部位と特徴
  1. ロース
    ロースは赤身の多い馬肉の中でもちょうどよく霜降りがあって柔らかく、人気の部位です。
  2. モモ
    モモはロースよりも脂が少なく、歯ごたえがあります。赤身の旨み特徴で、馬肉本来の風味を堪能できる部位です。さっぱりとした味わいが特徴で、シンプルに馬刺しとして楽しむのに最適です。細かく刻んでタレをつけて卵黄をのせてユッケにしても美味しく楽しめます。
  3. ヒレ
    ヒレは赤身の中でも最上級部位であり、柔らかいことで有名です。繊細で洗練された味わいが魅力で、馬刺しはもちろん、ステーキにして食べるのもおすすめです。
  4. 中トロ
    中トロは赤身と脂のバランスが絶妙な部位で、旨みと甘みが共存しています。そのバランスの良さから多くの料理に適してる部位になります。
  5. 大トロ
    大トロは馬一頭からわずかしか取れない非常に希少な部位で、きめ細かいサシと上品な脂の旨みが特徴です。この部位はダイオビとして知られ、厳しい品質チェックをクリアしたものだけが大トロとして販売されます。
  6. ふたえご
    ふたえごは、馬肉の中でも特に珍しい部位で、馬のあばらの部分に位置します。この部位は1頭の馬から非常に少ない量しか取れないため、非常に貴重であり、極上の肉として知られています。ふたえごは赤身と白い脂肪、そしてそれらが混ざり合った部分が層になっており、3層の美しい構造を持っています。
    赤身の部分はしっかりとした旨みを持ち、白い脂肪層は甘みがあり、これらが組み合わさることで、口の中で脂の甘みと肉の旨みが一体となります。
    フタエゴは、そのまま生で馬刺しとして楽しむのが一般的ですが、ユッケとして調理しても非常に美味しいです。
  7. たてがみ
    たてがみは皮下脂肪部分で、コラーゲンが豊富です。少しコリコリとしていて、かつプリッとした食感が特徴です。赤身と一緒に食べることで旨みが倍増します。
  8. ラム
    ラムはモモの一部であり、お尻の近くからわずかにしか取れません。この部位はやわらかく、薄く霜降りが入っているのが特徴です。
  9. バラ
    バラは馬のお腹の部分に位置し、馬肉の中で特に脂肪が多い部位です。この部位は和牛の霜降り肉やサーロインに比肩するほどサシが豊富です。特に「三角バラ」と呼ばれる部位は、その柔らかさとジューシーな風味で、肉好きから高い評価を受けている最高級の部位とされています。
  10. 馬ヒモ
    馬ヒモはアバラ骨の間の部位で、独特の弾力が特徴です。噛むほどに旨みと甘みがあふれるため、焼肉などで人気があります。
  11. 馬ホルモン
    馬ホルモンは主に小腸や大腸を指し、牛ホルモンと比べて厚みがあります。小腸は脂が多く、煮込み料理に、大腸はコジュツとも呼ばれており、焼いて食べるのがおすすめです。
  12. レバー
    馬のレバーは牛レバーより臭みが少なく、さっぱりした後味が特徴です。日本では生で食べられるレバーは馬レバーのみで、その風味と栄養価の高さから大変人気があります。牛レバ刺しに匹敵する美味しさで、大人の味を求める方にもおすすめです。

部位別のおすすめの食べ方

馬にぎり

馬肉はその部位によってそれぞれ最適な調理方法があります。生で食べる馬刺し以外にも、焼肉、鍋、煮込み、肉寿司など、様々な楽しみ方があります。それぞれオススメの調理方法をご紹介します。

フクシマ板長

焼肉におすすめの部位

  • カルビ:適度な脂があり、焼くととろける食感が楽しめます。
  • ヒレ:赤身の部位で、やわらかくジューシーに焼き上げることができます。
  • 馬ヒモ:独特の弾力があり、噛むほどに旨味が広がります。
  • 馬ホルモン(大腸、コジュツ):強い火でサッと焼くことで、香ばしさと歯ごたえが楽しめます。

脂が多い部位は焼肉に特に向いており、サッと表面を炙るだけで十分です。これにより、内部はジューシーなまま、外は香ばしく仕上がります。

鍋や煮込みにおすすめの部位

  • 中トロ・大トロ:脂と赤身のバランスが良く、柔らかくとろける感じが鍋に合います。
  • 馬すじ:煮込むほどにトロトロになり、濃厚な味わいが楽しめます。

中トロは特にしゃぶしゃぶやすき焼きに適しており、繊細な味わいが引き立ちます。

肉寿司におすすめの部位

  • モモ・ヒレ:シンプルな赤身の美味しさが楽しめ、寿司にすることでその風味が際立ちます。
  • 中トロ・大トロ:脂の旨味が寿司のシャリと組み合わせることで、まるでマグロのトロみたいな贅沢な味わいに。

肉寿司は、家庭で簡単に作れる流行りの食べ方で、馬肉のさまざまな部位を比べて食べる楽しみもあります。

まとめ

今回は馬刺しの部位ごとの特徴について解説をいたしました。馬肉は安全性が高く肉の甘みや旨みを存分に楽しめるので生肉で食べるのに最適なお肉です。美味しいだけでなく、タンパク質・鉄分・ビタミンやミネラルも豊富で、美容や健康・ダイエットに気をつけたい方にもおすすめです。

クセも少なく食べやすい馬肉は、幅広い層の方に人気があります。まだ馬肉を食べたことがないという方はぜひ一度食べてみてください。きっとその魅力の虜になると思います。

今回の記事が馬肉の深い魅力を知り、さまざまな部位を楽しんむきっかけとなっていただければ幸いです。

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