フクシマ板長
今回は、馬肉の栄養価と健康への利点を詳しく掘り下げるとともに、過剰摂取によって引き起こされる可能性があるデメリットについても触れます。馬肉を美味しく、かつ健康的に楽しむための情報をご紹介します。ぜひ最後までご一読ください。
目次
馬肉を食べることのメリット
それではまずは馬肉を食べることのメリットから紹介をしていきたいと思います。
貧血予防
馬肉は貧血予防にも非常に効果的です。これは、馬肉がヘム鉄を豊富に含んでいるためで、ヘム鉄は体に吸収されやすく、特に貧血を抱える女性や高齢者にとって有益です。馬肉を定期的に食べることで、鉄分を効率良く体内に取り込むことができ、赤血球の生成を促進し、貧血の改善が期待できます。
筋肉の増強
馬肉は筋肉の増強や修復にも非常に有効な食材です。これは馬肉が高品質のタンパク質を豊富に含んでいるためで、タンパク質は筋肉の成長に必須の栄養素です。
馬肉のタンパク質含有量は、100gあたり20.1gと、同じく赤身の牛肉や豚肉と比較しても多くなっています。アスリートや運動を頻繁に行う人にとって、筋肉の効率的な回復と強化をサポートしてくれます。また、運動をあまりしない人にとっても、日常的な活動による筋肉の疲労を軽減し、怪我の回復を早める効果が期待できます。
免疫力が上がる
馬肉に含まれる亜鉛とビタミンB6は、免疫機能を高め、風邪や感染症から身を守る効果が期待できます。
亜鉛は白血球の生成を助け、体の防御機能を強化する一方で、ビタミンB6は免疫細胞の効果的な機能と抗体の生産を支援するはたらきがあります。
これらの栄養素が充分に摂取されることで、感染症から身を守り、免疫システムの全体的な健康を促進する効果が期待できます。特に季節の変わり目や体調が優れない時に馬肉を食べることは、体の抵抗力を自然に高めるのに有効です。
栄養価の高さ
馬肉はその栄養価の高さで知られており、ビタミンB群、鉄、亜鉛などの必須栄養素を豊富に含んでいます。これらの栄養素は、体のさまざまな機能を支えるとともに、日常的に不足しがちな栄養を効率良く補充することができます。
低カロリー、低脂質でダイエットに向いている
馬肉100gあたりのカロリーは110kcalで、これは他の一般的な肉類と比較して非常に低いです。例えば、同量の牛肉は約300kcal、豚肉は約267kcalになります。
馬肉は牛肉や豚肉の半分以下のカロリーしか含まず、「カロリーを抑えつつお肉を楽しみたい」と考えている方にとってはまさにうってつけな食材です。また、馬肉の定番である赤身肉の脂質含有量は100gあたりわずか2.5gと非常に低く、牛肉や豚肉と比較しても大幅に少ないことが特徴です。
心血管疾患の予防
馬肉は心血管疾患の予防にも役立つ食材です。これは馬肉が低脂肪であり、コレステロール含有量も低いためです。これにより、心血管系に負担をかける脂肪やカロリーの摂取を抑えることができます。
また、馬肉に含まれる不飽和脂肪酸は、血液の健康を保ち、動脈内のプラーク形成を減少させる効果が期待されます。これらの特性により、高血圧や高コレステロールに悩む方にとって、心血管疾患のリスクを低減する効果が期待できます。
疲労回復
馬肉は疲労回復にも有効です。馬肉にはグリコーゲンと呼ばれる成分が豊富に含まれており、「動物デンプン」とも呼ばれるこの成分は、疲労回復や集中力を高める効果があるとされています。
グリコーゲンはエネルギーの即時供給源として機能し、体の回復と活力の回復を促進します。また、グリコーゲンは血糖値の調節にも役立ち、疲れやすい方や血糖値の管理が必要な方にも有効です。馬肉は体の疲れを軽減し、エネルギーを迅速に回復させる助けとなります。
馬肉を食べることのデメリット
ここまで馬肉の持つメリットばかりを紹介してきましたが、もちろんいいところだけではありません。どんなものにもメリット・デメリットが存在します。
デメリットを合わせて知ることで、より安全に楽しく馬肉を楽しんでいただくことができると思います。3つのデメリットをご紹介します。
食中毒のリスクがある
農馬肉にはザルコシスティス属の「ザルコシスティス・フェアリー」という寄生虫が寄生していることがわかっています。
これは、ウマを中間宿主、犬を終宿主とする生活環をもつ寄生虫で、ウマでは筋肉に寄生しますが、人に寄生して体内で発育することはないことが様々な調査で分かっています。
しかし、ザルコシスティス・フェアリーが人に寄生して発育することはありませんが、これが多く含まれる馬肉を食べると、食後数時間程度(4から8時間程度)で一過性の嘔吐や下痢といった症状が発生し、いずれも軽症で終わる事例が報告されています。現時点では、どのくらいの量を食べると症状を示すかは明らかになっていないようです。
また、これらの症状は軽度であり、通常は速やかに回復します。感染した人から他の人へ感染することはありません。
ザルコシスティス・フェアリーによる食中毒のリスクを低くするための方法として、馬肉を冷凍することが有効な手段です。
中心温度マイナス20℃で48時間以上やそれに準ずる冷凍保存を行えば、寄生虫が死滅することが分かっています。そのため、馬刺しの流通においては、冷凍保存が標準的な方法となっています。
馬刺しは、屠殺(とちく)された直後から安全性の確保に努められています。保健所による厳しい検査を受け、その基準を満たした肉だけが食肉として市場に出されます。
さらに、加工後の肉はマイナス20度で48時間以上(私たちはさらに厳しく52時間)冷凍処理されることが法律により義務付けられています。
これにより、食中毒のリスクを最小限に抑え、現在では馬刺しが非常に高い安全性を有する食品となっています。
消化不良による腹痛や下痢
馬肉を食べ過ぎてしまうと、消化化不良を招き、腹痛や下痢の原因となることがあります。
馬肉は他の生肉に比べて食中毒のリスクは低いとされていますが、消化に時間がかかるため、過剰な摂取は消化器系に負担をかけることがあります。
特に馬刺しのような冷たい食べ物は、体温を下げる効果があり、これが胃腸の機能を低下させることにつながります。胃腸が冷えると消化機能が低下し、食べた物をうまく処理できず、結果的に腹痛や下痢を引き起こすことがあります。
しかし、これは馬刺しに限った話ではなく、どんな食材も適量を守ることが大切です。馬刺しを楽しむ際には、ほどよい量を心がけ、食べ過ぎないように注意しましょう。
痛風のリスクがある
馬肉にはプリン体が含まれており、痛風になるリスクがあります。しかし、他の肉と比べてプリン体含有量が多いかと言われると、そこまでの大差はありません。
馬肉のプリン体含有量は、部位によって違いますが、一般的に100グラムあたり60ミリグラムから150ミリグラム程度とされています。これはプリン体が多いとされるレバーや白子などの半分に近い数値です。そのため、馬刺しはプリン体が特に多い食材とは言えません。
とは言え食べ過ぎにはもちろん注意が必要で、馬肉の摂取量としては1日に50〜100グラム程度(7~15切れ程度)が妥当とされています。これを超える量を日常的に摂取することは避けた方が良いですが、たまに少し多めに食べる程度であれば特に心配する必要はありません。
馬刺しを食べ過ぎるとどうなる?そのリスクや過食を防ぐ方法を解説まとめ
今回は馬肉のメリット・デメリットについて解説をさせていただきました。馬肉は栄養価も高く、かなりメリットが多い食材であるため、健康志向の方にもおすすめの食材です。ですが今回ご紹介した通り、食べ過ぎには注意が必要です。
何事もほどほどが大切ということですね。馬肉の正しい知識を身につけていただき、美味しく、楽しく馬肉を堪能してください。