フクシマ板長
では、実際どれくらいなら安心して食べられるのか、避けるべき部位はあるのか等、馬刺しと痛風について解説をしていきます。ぜひ最後までご一読ください。
目次
痛風とは何か?
痛風は、体内の尿酸が過剰に蓄積され、結晶化することで関節に炎症を引き起こす病気です。尿酸が関節に沈着すると、激しい痛みを伴う発作が発生します。
原因としては、尿酸の過剰生成や排出不全が挙げられます。プリン体が体内で代謝される過程で尿酸が生成され、通常は腎臓を通じて排出されますが、尿酸の産生が過剰であったり排出が不十分であったりすると血中の尿酸濃度が上昇します。
尿酸が過剰に存在すると、体温が低い関節部位で結晶化しやすくなり、関節内に沈着すると免疫反応が引き起こされ、激しい痛みと炎症を伴う発作が発生します。
症状には、突然の激しい関節痛や、繰り返し発作が起こることで関節の恒常的な炎症や損傷が進行し慢性的な痛みや変形が生じることがあります。痛風のリスク要因には、遺伝、食事(高プリン体食や果糖を多く含む飲料)、肥満、高血圧、腎機能低下などが含まれます。
プリン体とは何か?
プリン体は、細胞の核酸(DNAやRNA)の構成成分であり、エネルギー代謝や遺伝情報の伝達に重要な役割を果たします。プリン体には、体内で自然に生成される内因性プリン体と、食物から摂取される外因性プリン体の2種類があります。
高プリン体食品(赤肉、シーフード、レバーなど)を多く摂取すると、体内の尿酸生成が増加し、尿酸値が高くなりやすくなります。プリン体は体内で分解され、最終的に尿酸に変換されます。
通常は腎臓を通じて尿中に排出されますが、過剰な摂取や代謝異常があると尿酸が蓄積します。尿酸自体は抗酸化物質としても働きますが、過剰になると痛風の原因となります。高尿酸血症は、血中の尿酸濃度が高い状態で、痛風発作のリスクが増加します。
また、腎臓結石や腎機能障害を引き起こすこともあります。
プリン体を完全に避けることは不可能ですが、バランスの取れた食事と適度な摂取が重要です。
1日のプリン体の摂取量の目安
痛風や高尿酸血症を予防するためには、1日のプリン体摂取量を適切に管理することが重要です。一般的に推奨される1日のプリン体摂取量の目安は、約400mg未満です。この数値は、食事を通じて摂取するプリン体の総量を示しており、過剰摂取を避けるための指針となります。
プリン体が多く含まれる食品と少ない食品
プリン体の1日の摂取量目安がわかったところで、どの食品にどれくらいのプリン体が含まれているのかを解説します。
プリン体が多く含まれる食品
品目 | プリン体含有量(100gあたり) |
---|---|
鶏レバー | 312.2mg |
豚レバー | 284.8mg |
牛レバー | 219.8mg |
イワシ | 210.4mg |
あん肝(酒蒸し) | 399.2mg |
エビ(大正エビ) | 273.2mg |
レバーや腎臓、心臓などの内臓肉や、特定の魚(イワシ、サバ、ニシン)には高いプリン体が含まれています。これらの食品を過剰に摂取しないように注意が必要です。
次にプリン体が少ない食品をご紹介します。
プリン体が少ない食品
品目 | プリン体含有量(100gあたり) |
---|---|
豆腐(冷奴) | 31.1mg |
卵 | 0mg |
牛乳 | 0mg |
ブロッコリー | 70mg |
白米 | 25.9mg |
おくら | 35.5mg |
乳製品、卵、野菜や米はプリン体が少なく、プリン体の量が気になる方にとって健康的な選択肢となります。
馬刺しのプリン体含有量
では次に気になる馬刺しのプリン体含有量をご紹介します。
品目 | プリン体含有量(100gあたり) |
---|---|
赤身 | 130mg |
タテガミ | 20mg |
フタエゴ | 90mg |
霜降り | 100mg |
レバー | 312mg |
レバーはやはりプリン体が多く含まれているものの、プリン体が多く含まれている食品と比べると、馬刺しのプリン体含有量は決して多くはありません。
馬刺しは食べ過ぎなければ大丈夫
馬刺しの1人前の量が50g程度になるため、赤身であればプリン体の含有量は65g程度。1日のプリン体摂取量の目安が400gであることを考えれば、毎日1人前程度を食べる分にはあまり神経質に考える量ではないことがわかります。
馬刺しは体にとても良い食材のため、食べ過ぎに注意すれば積極的に取りたい食材です。ただやはりどんなものもメリットとデメリットがあります。何事も適量が大切です。
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痛風にならないためのポイント
最後に痛風にならないためのポイントをご紹介します。痛風を予防するためには、日常生活の中でいくつかのポイントに注意することが重要です。
食事や飲酒の管理、水分摂取、ストレス解消、運動習慣など、具体的な対策を取り入れることで、尿酸値をコントロールすることが大切です。具体的なポイントは以下の通りです。
食べ過ぎない
摂取エネルギー(カロリー)を抑えて肥満を解消するだけで尿酸値は下がります。特に肉や魚の内臓や干物にはプリン体が多く含まれているため、食べ過ぎないようにしましょう。バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
お酒は適量に(または飲まない)
アルコール自体に尿酸値を上げる作用があります。プリン体カットビールだからといって飲み過ぎてはいけません。日本酒なら1合、ビールなら500mL、ウイスキーなら60mLまでにしましょう。適度な飲酒を心がけることが、尿酸値の管理に役立ちます。可能な場合は、お酒は全く飲まないのが理想です。
水を2リットル以上飲む
尿酸の排泄を促進するために、1日2リットル以上の水やお茶を飲むことがおすすめです。たくさんの尿で尿酸を排泄することができます。ただし、砂糖を多く含む清涼飲料水は尿酸値を上げる可能性があるため、飲み過ぎには注意しましょう。
ストレスを溜めない
ストレスは尿酸値を上昇させる危険因子です。ストレスを溜めないように、人と話したり身体を動かしたり、趣味に没頭するなど、自分に合った方法でストレスを解消しましょう。リラックスする時間を持つことが重要です。
適度な運動をする
激しい運動や無酸素運動(100メートルダッシュや激しい筋トレなど)は尿酸値の上昇原因になることがあります。話しながらでもできるような有酸素運動を取り入れて、肥満やストレスを解消しましょう。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどが効果的です。
まとめ
今回は馬刺しと痛風の関係について詳しく見てきました。馬刺しは美味しく、栄養価が高い一方で、一定量のプリン体を含んでいます。痛風のリスクを避けるためには、食べ過ぎには注意をしていただき、バランスの取れた食事と健康的な生活習慣が大切です。健康にも気を配りながら、馬刺しを美味しく楽しみましょう。